新品の真鍮製品を酸化・還元などでヴィンテージ品にする方法

 

(ヴィンテージ加工の画像は下部に掲載しています。)

 

新品の真鍮製品をWEBで買ったのですが、ピカピカつやつやなので雰囲気に合わず。

西海岸とかブルックリンな雰囲気の家に取り付けるので、ダメージのあるビンテージ加工をしようと考えました。

 

真鍮製品って、ダメージ、ビンテージ加工をしているものもありますが、どうも納得がいく感じのものって少ないですね。

それにしても、新品のものって綺麗なんですよね。

素材を研磨して鏡面加工した上にウレタン系のクリア塗装をしているので、本当にピカピカしています。

 

このウレタン系のクリア塗装がある限り、自然に使っていて、ビンテージ感が出るには何年もの年月が必要になります。

といって、その経年変化を待つわけにもいきません。

 

それに、ダメージ・ビンテージ風に塗装をしようとしても、ウレタン系クリア塗装が邪魔としか言いようがない。

また、今回の金具は扉と框(かまち、扉の建具)に埋め込むこともあって、寸法の維持を優先しなければならず、塗装をするって選択肢がありません。

しかも、塗装したのでは、使用による金属同士の擦れで塗装が剥がれてしまい、元のピカピカした真鍮が見えてしまいますから、これも選択肢としてありまえん。市販の焼き付け塗装品も同じことなので、塗装が剥がれたら、ビンテージ感が消えて無くなるのかな。

 

では、どうするか? 悩みどころです。

数日考えて、あれこれと調べたり、思い返したり。。。

そして思い出しました。

 

小学生から高校生のとき、モデルガンを収集していまして、火薬を使った薬莢を洗浄するときのことを思い出したのです。

モデルガンの薬莢っていうのは、真鍮で出来ているので、火薬の使用を繰り返していると、ススがついて汚れたり、青錆が付いたりするのですが、これを時折洗浄して、綺麗にしてあげないと、錆がひどくなって、薬莢がダメになってしまうのです。

 

もう30年以上も前のことを思い出したのですが、洗浄の際、市販の酸性の洗剤を使っていたのですね。これで錆や汚れを浮かせて、ブラシで汚れを落とすのです。

ただ、それだけですと、酸性洗剤ですから真鍮が酸性に侵されて、錆が進行します。

錆を止める必要があるわけで、そこで酸性とは反対のアルカリ性の洗剤にもう一度漬けて、酸化しているものを還元して中和してあげるのですね。

 

その酸化と還元の後ですが、真鍮の薬莢の動きがかなり悪くなることが多々あって、滑りを良くするためにオイルを使って全体を拭き上げるのです。

 

この一連の工程を誰に教わるでもなく、小学生のころから、身近にあった洗剤とオイルを使ってやっていたのを思い出しました。いま振り返ると、酸性とアルカリ性の洗剤を使っていたので、混ぜていたらと思うとゾッとします。当時は「混ぜたら危険」なんて表記は無かったと思うんですね。

 

こんな具合のことを思い出し、過去の経験を活かして、今回の金具の加工をしようということになりました。

 

ただ、思うダメージ処理とビンテージ感が出るか。これが大問題ですね、実際のところ。

 

そして、ここまで思い出した酸化と還元だけでは、ビンテージ感が出ないという結論に至りました。というのも、綺麗であった真鍮のモデルガンの薬莢の汚れを落として、また綺麗にするために酸化と還元をしていたのです。ビンテージ感は出ていませんでした。

 

また、ここで悩むのですが、当時のモデルガンの中にはABS製、真鍮製、鉄製のものがあり、どれも持っていたので、これらを綺麗に保つにはどうやっていたのかを思い出すわけです。当然、実物のガンは持っていませんでしたが、専門誌を毎月購読していたこともあって、手入れ方法なんかもじっくりと読んでいたので、それを読み返しながら、収集していたモデルガンを手入れしていました。そのとき、ハンドガンもライフルも「ガンブルー」というブルーというかブラックというか独特の鉄色を醸し出していたのです。

 

この「ガンブルー」という鉄の色は恐らくですが、ブルーイング加工というものを施しているみたいです。本物のハンドガンの素材の鉄は「クロムモリブデン鋼」という合金でこれにブルーイング加工を処理しているとのこと。黒い鉄を調べると、四酸化三鉄(Fe3O4)という黒錆をさせて強く加工した鉄もあるのですが、これがブルーイング加工ということなのかな。まあ、この辺りの話今回は直接関係ない話なので、間違えていたらご勘弁を。

 

また、今回は真鍮のアンティーク加工ですから、鉄やクロムモリブデン鋼のブルーイング処理や四酸化三鉄(Fe3O4)の話とは素材が異なります。上手くいくのやら。

 

ただただ「ガンブルー」「ブルーイング」という言葉を思い出したのが幸いでした。真鍮製品にビンテージ感を出す答えはこのキーワードそのものでした。WEB検索で真鍮をブルーイングできる薬品が売られていることを知りましたし、しかもその薬品は子供のときに読んだ専門誌に掲載されていたもののような感じでした。

 

ということで、加工する前に、何日か熟考して答えにたどり着きましたので、ビンテージ加工に必要な道具を集めることにしました。

 

必要なもの一覧は次の通りです。

  1. ビンテージ加工をする真鍮製品
  2. 強酸性の洗剤(トイレ洗浄に使うアレです)
  3. 強アルカリ性の洗剤(油汚れを落とすアレです)
  4. 洗剤を入れる容器(ガラス瓶かプラ容器)
  5. 撹拌するため棒(割り箸など)
  6. 塗付用筆(水彩画に使うもの、丸筆or平筆、つまようじ)
  7. 耐水サンドペーパー
  8. スクレーバー(剥離用のヘラ)
  9. 汚れ落とし用のブラシ(金属ブラシとプラブラシ) 
  10. 新聞紙と段ボール
  11. ウエス(布)
  12. ゴム手袋
  13. スプレーオイル(錆落としや艶出しに使うアレです)
  14. +ドライバー(製品を分解・組立するため)
  15. 塗料用ポリ容器
  16. ガンブルー用の薬品 

 


【 ガンブルー液とブラシ 】

  


 

まあ、こんな感じのものを揃えて、「いざ作業開始!」ですね。

ちなみに初めに言っておきますが、作業は1日では終わらず、丸2日は必要な感じですね。

 

道具さえ揃っていれば、綺麗なビンテージ加工を丸2日で仕上げられるのですから、かなりの時短です。数十年を丸2日ですからね。自分的には、これだけで随分と価値があることと思います。

 

しかも、同じ真鍮製品にビンテージ加工をするにしても、実際にはひとつひとつの出来上がりが違ってきますので、本当に味わいのあるものが出来上がります。ビンテージ品を見つけてきたと思うような感じに仕上がりますよ。

 

これは推察ですが、真鍮は黄銅といわれる「銅と亜鉛を混ぜた合金」ですから、均一に混ざっているとしても、混ざりものですから、今回処理するような酸化と還元の過程で均一にはならないのかも知れません。または製品製造過程での研磨による見えないムラがあるのか、クリア塗料の剥離の段階でムラが出来るためなのか、ブルーイング処理をする際に濃淡を醸し出してくれ、ビンテージ感を引き出してくれるのだと思われます。

 

 

さてさて、作業自体はかなりコツコツ感が漂う地道で地味な職人風そのものですが(笑)道具が揃えば、そして安全を第一にしていれば、自分で出来る範囲のものですから、ご参考までにしていただければと思います。

 

 

写真は作業の工程の順に掲載しておきます。それと説明も併せて書いておきます。

 

(※なお、掲載していることは自らの知識や経験を元にしており、化学的見識で正確か否かは保証できません。あくまでも自己責任で処理をしておりますので、当記事を参考にして、ケガ、事故やトラブルが発生しても、当サイトは一切責任を負いません。間違えた記載があった場合はご容赦ください。)

 

black01.jpg

(1) 新品の真鍮製品を分解して、ビンテージ加工をしたい部品を並べた様子です。今回は2セット同じものを、同時に同じように処理していきます。この時点では、真鍮の鏡面加工とクリア塗装により、表面は艶があるピカピカ。光の反射の加減はありますが、新品なので見た目の違いはありませんね。

 

 

black02.jpg

(2) ガラス容器に分解した各部品すべてを入れた様子です。ガラス瓶ですが、酸性洗剤を入れるため、蓋には「酸性」と表記し、「アルカリ性」との混同を回避します。

 

 

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(3) (2)のガラス瓶に入れた真鍮の部品すべてが浸かるまで酸性洗剤を入れた様子です。このまま蓋を開けていては異物の混入の可能性もあるので、蓋をします。ただ、酸化させているため、酸性溶液と真鍮の化学反応があるので、密閉はしません。泡が出てくるようなことはありませんが、換気するか屋外に置いて、12時間から1日くらいは放置します。進み具合を確認するためにも数時間ごとに中身を撹拌してあげます。

 

(4) 放置しておくと、空気中の硫黄成分などと反応するのか、酸性洗剤の中に緑色のものが浮いています。また、ウレタン系のクリア塗装が酸性洗剤に溶かされて、透明のクリア塗装が浮いて剥がれてきます。このクリア塗装の剥離には剥離剤がありますが、もの凄い劇薬で異臭がするので使いません。酸性洗剤で時間を掛ければ、じわじわとクリア塗装が浮いてきて剥離できるし、クリア塗装が剥がれた真鍮が徐々に酸化してくれるので、ブルーイングの下地処理が同時に行えます。

 

 

black04.jpg

(5) 丸1日程度、酸性洗剤の中で浸け込んだものを取り出しますが、手に酸性洗剤が付かないようゴム手袋をしておきます。また衣服に付かないようにも気を付けてください。

 

(6) 取り出した部品は、酸性洗剤を落とし切るため、水道水でよく洗います。洗い終わったら水をウエス(布)で拭いて乾かします。洗い終わって乾かしたものが、上の写真です。最初の状態から変化しているのが分かるでしょうか?クリア塗装が剥がれているので、若干光沢感が落ちています。

 

(7) 酸性洗剤から取り出したとき、ほとんどのクリア塗装は剥がれ落ちてくれますが、浸け込み時間が少ないと上手く剥がれてくれません。その際は、再度浸けこみを行うか、どうかです。部品によっては細かな部分もあるので、再度浸け込んでも効果が出ないこともあります。そういう際は、手作業ですが、耐水サンドペーパーを使って、水で濡らしながらクリア塗装を磨き落とすか、金属ブラシやスクレーバーを上手く使って、クリア塗装を剥がします。クリア塗装を上手く剥がしておかないと、後々のブルーイング加工ができないので、この作業は時間を掛けて、黙々と丁寧にするしかありません。

 

(8) 酸性洗剤に浸け込んで、クリア塗装が落ちて、洗剤の中で酸化した真鍮を水洗いして乾燥したら、錆びた10円玉のような臭いがします。真鍮の銅の部分が酸化しているという証です。そのまま空気中に置いておけば、銅が錆びる赤錆や若干の青錆が発生してきます。これで良い場合は、ここで作業を止め、しばらく放置すれば、赤錆によるそれなりのダメージ処理が得られます。ただ、この酸化による錆びは進行しますので、錆びを止める還元処理が必要です。

 

 

black05.jpg

(9) 今回はビンテージ感を出したいのが狙いなんですが、ブルーイング処理をするため、ここで一旦は酸化作用による錆びの進行を止めます。(8で作業を終わる場合でも、この作業を行いましょう。)

 

(10) 酸化作用による錆びの進行を止めるため、アルカリ性での還元を行います。そのために、アルカリ洗剤を入れるガラス容器を別に準備して、そのガラス容器に真鍮の部品をすべて入れ、アルカリ洗剤を流し込みます。そしてまた数時間ほど浸け込みます。このときも、蓋は密閉せず、換気をしつつ、中身を時折撹拌しておきます。

 

(11) 試しに一つの部品を取り出してみて、水洗いします。ウエスで拭き上げて、酸化が進むときの錆びの臭いがしなければ、還元が完了したと言えるでしょう。その際には、ガラス容器から部品全てを取り出して、水洗い、拭き取り、乾燥をします。

 

 

black06.jpg

(12) この写真がアルカリ性溶液で還元が完了した状態のものです。酸化させたときとの違いは微妙でしょうかね。ただ、よく見比べると、段々と光沢感は無くなっています。今回はブルーイング処理が前提なので、実際この状態では、真鍮をクリア塗装する前の無垢の状態に戻したと言っても良いでしょうかね。

 

 

black07.jpg

(13) 上の写真は、ほぼ無垢の状態に戻した真鍮にブルーイング処理をしている状態です。段ボールの上に真鍮の部品を並べて置いて、ゴム手袋をして、ブルー液を水彩画用の丸筆に付けて、部品ひとつひとつを手に取ってブルー液を塗っていきます。

 

(14) この時、ブルー液を真鍮の表面に重ねて塗れば、濃い黒に変化していきます。アンティークでビンテージ感を醸し出したいのが元々の狙いなので、真っ黒にはしたくありません。そこで、筆に若干ですが水を含ませてからブルー液を塗るのがコツかも知れません。様子を見ながら、加減をしながらブルー液を塗っていきます。

 

(15) ブルー液を塗った途端に、真鍮は黒く変化していきます。化学変化の四酸化三鉄と同じような原理だと思われる黒錆が表面に出来ていきますが、赤錆のような嫌な臭いはしません。ただ、このブルー液自体は劇薬表示があるので、取扱いには細心の注意をしてください。手や皮膚に付かないようゴム手袋やゴーグルをします。

 

(16) ブルー液を塗り終わったら、黒錆の浸透の加減が見えないので、しばしの間、放置しておきます。程度の確認は勘ですが、30分から1時間くらい経過したときに、水洗いしてブルー液を洗い流し、拭き取りと乾燥をさせることにします。

 

 

black08.jpg

(17) ブルー液を水道水で洗い流し、ウエスで拭き取り、乾燥させたものが上の写真です。同じようにブルー液を塗り、ブルーイング処理をしたのですが、各々の色の濃淡がはっきりと分かります。黒錆と思われる状態で、濃淡もあってビンテージ感が醸し出されて上出来です。このままで完成と言いたいところですが、黒錆も錆びなので後々の錆びの進行は止められません。ただ、これ以上の錆びの進行を和らげるために、スプレーオイルを塗付して錆止めをしておきます。

 

 

black09.jpg

(18) 錆止めのために、部品の全体にスプレーオイルを念入りに塗付して、しばらく放置しておきます。オイルまみれでは困りますので、ウエスで表面のオイルを拭き取ります。ブルーイングした直後よりもビンテージ感が増したように仕上がりました。これで作業は終わり、酸化還元&ブルーイング処理によるビンテージ感創出の完成です。

 

 

綺麗なピカピカの新品であった真鍮のものが、これらの酸化・還元とブルーイング処理をすることで、何十年も使ったような味わい深いビンテージものに生まれ変わりました。

今回の出来も上々でした。ブルーイングで真っ黒にしないで、真鍮が黒く錆びている微妙な感じを出すのは、なかなかの腕前と自負しております。

売っている焼き付け塗装のものなどよりも上手く処理できていると思いますし(笑)

 

それにしても、30年以上前のモデルガンの趣味で覚えた知識がこんな形で役に立つってのは面白いものです。いろいろと遊んだり、いたずらしたりしたことも意味があるというか、役立てられるものなんですね。

 

やっぱり遊びとか趣味は大事ですね(笑)


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